わが国の米作りは神話にさかのぼります。高天原(たかまがはら)の天照大御神は、そのお孫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が地上に降臨される際、高天原の稲穂を授けられました。これが稲作の始まりで、それ以来、わが国は米作りを主として生活を営んできました。今でも、天皇は毎年の新米を天照大御神に捧げて共に食される、新嘗祭(にいなめさい)というお祭をいとなまれています。五穀の豊穣を祈り、国民生活の平安を祈念するという天皇のお仕事を象徴するお祭で、勤労感謝の日の由来です。
また、昭和天皇の時からは、ご自身で田植えをなさっています。ちなみに、上皇后陛下美智子様は、平成8年(1996)の歌会始(御題「苗」)で、「日本列島田ごとの早苗そよぐらむ今日わが君も御田(みた)にいでます」とお詠みになりました。「わが君」とは、当時、天皇であられた上皇陛下のことです。天皇の御田植とともに、全国の稲田で、棚田で早苗がさわやかな風にそよいでいる。何ともみずみずしく、すがすがしい光景がイメージされます。
しかしながら、稲作はいま新たな時代の岐路に立っているといえるでしょう。担い手の減少、棚田の荒廃、農村人口の高齢化など――このままでは、わが国が千年以上続けてきた稲穂の道が途絶えてしまう恐れがあります。そこで私たちは、古代から続く稲作文化を、未来へと紡ぐための挑戦を提案したいと思います。それが 「Japanese Agriculture Adventure(JAA)」 です。JAAの具体的中身として、以下の(A)と(B)を考えています。
(A)日本民族が、稲作を中心として生きてきた営みを、冒険者たる外国人に、1年間を通じて追体験してもらう。
(B)その追体験の移動手段として、空飛ぶ車を活用する。
(A)
世界には、通常の旅行パックに飽き足らぬ、冒険者が山といます。冒険者は、誰も経験したことがない、自分だけのためにあつらえられた、特別仕様の旅を求めます。アドベンチャートラベルは、現在の世界の旅行の潮流です。JAAでは、前段に記させていただいた、天皇陛下がなさっておられる、稲作の行事を参考にさせていただいて、スケジュールを組まさせていただきます。小泉農水大臣は、本年8月6日、米の増産を概算要求すると表明しました。増産に当たっては、単なる増産ではなく、その予算のいくばくかを棚田復活に充てることが求められます。手始めとして、鹿児島県のしかるべき場所に、棚田を復活させることを考えています。
「神話の時代から未来へ―稲作文化を千年先に引き継ぐための未来型農村モデル」を、「古代と未来が交差する場所」
として鹿児島県内に作り上げ、世界に発信します。棚田での稲作を中心に、水産・林業も含め、日本の農業をテーマとした、手作りのアドベンチャートラベルを組みます。諸国から、JAAの冒険の参加者を募集します。JAAの冒険者に旅を堪能してもらうには、おもてなし側の日本人に、稲作の重要性を認識してもらう必要があります。そこで、外国人ツアーには、抱き合わせで、日本人の枠を割り当てることにします。
内閣府地方創生会議の実施する、外国人向けの補助制度を参考に、観光ビザを持つ外国人を対象とした、新たな補助金スキームを、諸国から募集する冒険者向けに、関係者の知恵を結集して構築したいと思います。
(B)
コブクロは、大阪万博テーマソングで、「当たり前に 空を飛べる 100年先を想像できるかい?」と歌います。「稲穂の道の歩み」に「天を行き交う道」を新たに開拓することで、未来の農業の形を深耕することが、「空飛ぶ車」の活用なのではと考えます。鹿児島空港からJAAへの移動、各JAA間の往き来については、大阪万博で試行中の、空飛ぶ車をフル活用します。離発着は、廃校となった小中学校の校庭を転用します。旧校舎は、「空の駅」として、よみがえります。空飛ぶ車については、国交省航空局の運賃補助対象になるよう要望します。先行モデルを構築し、鹿児島県庁の離島振興課のバックアップを仰ぎ、鹿児島県内の全離島に展開します。
将来は、公益財団法人 日本離島センターと協働して、全国に普及することを考えています。
(今後の段取り)
財務省も入れると、内閣府・国交・農水・総務省と、5省をまたがる仕事になります。(株)RewardSは、各省庁の間に、架橋します。Footworkで、5省庁を網羅するNetworkを構築し、5省庁のCombinationにより、JAAのInnovationをBig Banします。政府全体の国家戦略として位置付けるために、新しい政権の国家戦略に据えることを目指します。
– 豊岡俊彦 –